| Q1. |
プール制はカルテルとは違うのか? |
| A1. |
カルテルとして世界で公認されているのはコンテナで3つくらい、それ以外には私的に民間会社の協力による助け合いの形としているのがプールで、タンカーで2つくらい、バルクキャリアで2つくらい存在する。
船会社はここ35年間程荷主との関係では所謂傭船者マーケットのもと大変な苦労をしてきたので、その対策としてお互い船を出し合って共同運航すれば良いのではと考えた。 |
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| Q2. |
それは国際的か?組織化にはリーダーがいるのか? |
| A2. |
船社経営の危機に強い意識の強いところだけリーダーとして出てくる。
日本の大手、日本郵船、商船三井、川崎汽船は単体でも大きい。中国のCOSCO(国営)も大きいがプールには入っていない(定期船のカルテルは別として)。
プール制は1998年〜03年欧州でしばらく続いた。
欧州では各国が地理的にも近距離にある為か、協調の話がしやすいのではないかと推察している。
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| Q3. |
中国の流通について以前のワークショップで中国から船で輸出するときは満杯で、帰りはカラ(空船)が多いと聞いた。これではコストはかかるし、効率も悪い。
解決する方法は? |
| A3. |
船は荷物を運んでお金をいくらもらえるかの商売。
往復とも満船での運航ができるのが理想であるがそれが出来ているところはあまりない。片道だけ荷物があるというのがほとんどである。
コンテナを例に取ると中国、日本、韓国からアメリカへ運んだ帰りのアメリカからのコンテナは荷物満載と言うことは難しい。東アジアからアメリカへ3つのコンテナを運ぶと、帰りに荷がつくのは1つ程度と言われている。
往復の荷物を運ぶ例としてはクロストレード(大西洋/太平洋を往復する航路)がある。例えばオーストラリアから欧州へ鉄鉱石乃至は石炭を運び、欧州から南米ブラジル迄は空船、ブラジルから日本または韓国/中国に鉄鉱石を運ぶ場合の空船率は30%に減少する。
太平洋内、大西洋内の航路では、運賃は基本的に片道だけ荷物が存在する前提で計算されている。 |
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| Q4. |
3つのコンテナの例で効率的に運航するため3回分をまとめて出発させることはできないのか? |
| A4. |
できることはできるが、それでは配送タイミングに重きを置くような顧客のニーズに応えられない。
これに加えて、船を遊ばせるコストは高いものにつくが、特にコンテナ船は高速で走る様に建造されておりコストも高くなるので船を港に置いておくだけで莫大な費用がかかる。 |
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| Q5. |
船のオペレーションに関わるコスト港費はどのように決まるのか? |
| A5. |
シート8(バルクキャリアコスト試算)を見て欲しい。
これは6,000万ドルの船価の船を作った場合の計算。4,000万ドルの船ならもっと安くなる。港に払うお金はシート7(船舶コストの構造)を見て下さい。
どんな船を作るかによって決まる。 |
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| Q6. |
貨物と運賃の関係はどのように変化しているのか? |
| A6. |
鉄鉱石の例でお話しする。ここ2年の経験で言えば、昨年までは運賃の方が高かった。大凡10j/tだったブラジル−日本のフレートが45j/tまで上がっていた。ところが今年の初めに、鉄鉱石の価格が71.5%上がり、25jが40jになった。石炭に至っては125%値上がりし、50jが120jに跳ね上がった。他方運賃はやや冷やされブラジル/日本の場合でUS$30/t程度以下になっている。'75年から'02年までは、大凡貨物(鉄鋼原料に限って言えば)の値段が高かった。 |
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| Q7. |
中国ブームはいつまで続くと思うか? |
| A7. |
私の方こそ教えて欲しいと思っているくらい難しい質問と思う。世界中で調べているが確たる見通しはわからない。通説では2008年のオリンピック、2010年の万博までは続くだろうと言われている。中国の政策遂行能力は高いのでで、そうなるように様々な手を打つだろう。
生産の伸びは余りにも急速な伸びで理解しがたいが、事実として伸びている。
海運マーケットは2003年12月から2回ピ−クをつけた。中国のマクロ経済政策とかなり高い相関が見られる。
来年はこれまでのように爆発的な状態にはならないのではというのが多数意見であるが、正直なところおっかなビックリだ。
今のところ中国経済がダメになるような兆候は見られず、鉄鋼マーケットは少し下がっているが、崩壊する理由が見当たらない。 |
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| Q8. |
P.26の図(船価推移)を見ると2004年、2005年は新造船価より中古船価が高くなっている。何故か? |
| A8. |
現在の状況では造船所の船台がすべて埋まっており、新しい船を建造するためには 2010年まで待たねばならない。中古船であれば、足下の海運マーケット好調を享受して、購入した翌日から確実に利益を上げる事が出来るが、新造船の場合、その船が引き渡されるまで4年から5年間待たなくてはならず、その間に海運マーケットもどのように変化するか保証の限りではなく、利益を上げられるという観点からは不確実性が大きい。この事情を反映すると、中古船の市場価格が新造船の価格を上回る場合が生ずる。 |
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| Q9. |
港で船を泊めなければならない場合はあるのか?その場合の解決方向は? |
| A9. |
港の施設で事故を起こしたり、油を流したりした場合はありうる。始末がつくまで、港に繋留される。代わりの船を提供するようなこともあるが、最終的には経済問題としてお金で解決するしかない。 |
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| Q10. |
その場合、保険は利くのか? |
| A10. |
故意で起こした事故の場合は、難しいケースとなるが、通常の事故(過失の場合)の場合は保険でカバーされる。 |
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| Q11. |
デスデマとは? |
| A11. |
契約書に「本船の責任に帰すことが出来ない理由で予定荷役時間内に荷役作業を終えることが出来なかった場合、本船を契約規定より余分に泊めた時間に比例してコスト補償の意味を持つデマ(延滞料)を荷役側(積荷、揚荷、各々)から本船に対して支払う。逆に予定時間内で荷役作業が終了した場合は、本船が速く出港できるメリットを荷役する側に返すと言う意味でデス(早出料)を支払う。 |
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| Q12. |
上海で1ヵ月も荷役を待たされるというのは本当か? |
| A12. |
そういう状況が生じたことがある。中国ではこの2年間くらいで港を急速に整備してずいぶん改善された。コンテナターミナルもどんどんできている。以前は17.8万tの船が入れるのは北崙港しかなかったが、今は8〜9箇所はある。上海近くの大洋山には世界最大のコンテナターミナルを造っている。
中国は物流に対してものすごい執念を持っている様に見える。国をあげてインフラ整備をやり遂げる力はすばらしい。
その点、以前勤務したブラジルはやや対照的である。30年前にブラジルにも所謂ブラジルブームが存在したが彼らは日本に対し何故資本進出をもっと行ってくれないかと不満げだった。しかし、実際に行ってみても、インフラの整備等が必ずしも万全ではなく、外資が自発的にブラジルに進出するに見合う条件が十分整備されていたという体制にはなっていなかったように感じる。それに対して中国は、外資に対して来てくれと言う前に、自らどんどんインフラを建設しており、外資としても中国への進出がやりやすいようであるとの印象を受けている。今の中国はインフラがどんどん整ってきており、すごいと思う。 |
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| Q13. |
船会社の世界のビッグ3は? |
| A13. |
船種によって違う。
総合船社として日本郵船、商船三井、川崎汽船は上位を占める。
コンテナ会社としてはマースク・ネドロイドが世界の25%シェアを有し、アジアでは台湾のエバーグリーンが大きい。 |
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| Q14. |
競争戦略としてどんな差別化を図っているのか? |
| A14. |
海運は運賃の競争力次第である。競争力ある運賃を提供することに尽きる。
シート7(船舶コストの構造)を見て欲しい。
先ず第一に注目して欲しいことは、最も大きなコスト要素である資本費で決定的な差がつく事である。
大手船会社はそのほかの船社に比べ、金融機関から有利な金利条件で融資が受けられる。大手船社と中小の船社では1.5〜2.0%の金利差がつく事がある。従って体力があれば船価の一番安い時に船舶調達を行うことが鉄則で、船価が安い時に建造すればその船の運賃率は競争力があり、不況にも耐えられる。フレート(運賃)の競争力を分析していくと、最終的にはコスト競争力が決めてとなる注のタイミングとファイナンス条件が重要。
また、日鉄海運の場合、新日鐵が76%の株主であり、新日鐵はその使用する原料の安定調達という観点からコスト保証を行う専用船隊を整備し、専用船隊に対しては油代が上がっても荷主として値上がり分を補償する仕組みを実施している。石油(燃料油)が1j上がれば、ブラジル/日本の航路に於けるケープサイズのバルカーで、運賃率は理論上約1.7セント上昇することとなり、これを補償対象としている。しかし、そのほかの荷主の場合、特に一年以下の短期輸送契約の場合等には、足下の燃料油マーケットを前提として輸送契約を締結することも多く、その場合荷主、船主双方に燃料油価格の変動に伴うリスクが残ることとなる。 |
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| Q15. |
新日鐵が傘下に日鉄海運を持つのはどういった意味があるか?運賃だけ考えればメリットは無いのではないか。他にメリットがある筈だが? |
| A15. |
製鉄事業の安定を図るという目的と、海運マーケットにおける船腹の需給バランスの観点からこの問いに対する回答を見るのが良いと思う。
どこからでも船が引ける(傭船)ようなBuyer's(Charterer's)Marketの時は、我々の様に専用船を運航する船社はその提供する専用船の運賃が高いと言われ、なかなか反論しにくい辛い時代を経験してきた。しかしこの2年間で、例えばブラジル/日本のスポットマーケットは45jにも跳ね上がったが、我々専用船は10j前後の運賃率で運んでおり、専用船の運賃率競争力を証明できている。
しかし、最も重要なことは鉄鋼業にとって、必要な船が欲しい時に手当てできるという安心感だと思う。専用船の運賃はその都度のスポットマーケットの運賃率と比べれば少し高い場合があるのかも知れない。
安定的に船を求める場合は長期契約の専用船が良いし、スポット的な用船はその反対である。どちらがいいかは一概に答がない。フランスは伝統的に長期契約の話よりも一年以内の短期契約乃至はスポット契約をより好む傾向が見られる。中国もこれまでは専用船を持っていなかった。ここ数年の動きを見れば中国も調達の安心感を優先するとすれば、専用船を持つ方向に進むだろう。フレートがどんなに高くなっても良いという覚悟があれば、スポット傭船でも構わないだろうが、物理的に船が引けないことがあるかも知れないと思えば、どうしても安心が欲しくなる。資源に恵まれない日本としては、もっと資源調達に関わる安全保障の考え方を重視する必要があると思う。この延長線の考え方として、どんなに高い運賃率を提示しても船がない場合はどうするのかを考えると、私は政策として専用船は必要だと思う。
(杉本教授コメント)
鉄鋼業は連続操業が宿命づけられており、そのためには安定した鉄鉱石、石炭の確保が不可欠である。
フレートの高い、安いだけでは決められない。 |
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| Q16. |
運送中の荷物の損傷、お客のクレームへの対応は? |
| A16. |
(鉄の輸送は)長い取引であり、誠実に対応する。
保険をかけているので保険会社の査定に委ねることが多い。 |
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| Q17. |
中国の需要、需給バランスは? |
| A17. |
中国の需要は理解が難しい。
過熱状況には至らないという人もいるが、このところの2年で1億トン粗鋼生産が増えており、将来のことはNo
one knows.欧州の海運企業は中国に駐在員を置いて、中国のマーケット状況を全部レポートさせている。中国のことを出来るだけ正確に掴んでいないと世界の経済を語れない時代になっている。
これまでに私が掴んできた情報によれば、中国経済の来年様子は'05年よりややmoderateな伸びになるのではないかと想定する事が妥当なように思う。 |
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| Q18. |
運賃コスト競争は大事だが、納期も重要と思う。台風や津波のことを考えて、納期は余裕を持って決めるのか? |
| A18. |
船は大体計算通りに運航できる。20日ぐらいの航海でもアロウアンスは0.5日程度しか見ていない。冬場の北大西洋は荒れるが、その他の場合はほとんど計算通り到着する。
鉄鋼原料を運ぶバラ積み船は、Buyerが45日間くらいの在庫を持っているので、少々の遅れはこの中で吸収して頂けるが、コンテナ船は輸送期間の短縮と荷渡しタイミングの正確なスケジュールを売り物にしているので、少しの遅れでも問題となる可能性が大で、大変である。 |
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| Q19. |
船腹需給ギャップ率はどの程度でバランスするのか? |
| A19. |
シートの21ページ(ドライバルカー需給ギャップ率)を見て欲しい。
ギャップ率6%〜7%ならComfortable Buyer's Marketでほぼ安定する。また、過去どんな時でも船がなくて運ぶに運べなかったようなことはない。しかし、ギャップ率が0になったら、凄まじいことになるかも知れない。 |
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| Q20. |
日本人船員とフィリピン人船員についてお聞きしたい。 |
| A20. |
フィリピン人船員は世界で23万人と言われている。日本の船だけでも23,000人〜25,000人が乗船している。
フィリピン人船員が多いのは同国国内に海上職以上に魅力的な仕事や職場が相対的に少ないからではないか?プランテーションとかいくつかの産業以外に大きな労働人口を吸収する産業がないのではないか。将来フィリピン人船員と国際船員マーケットで競争するのは中国人船員であろう。 |
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| Q21. |
トレーニングは?コミュニケーションは? |
| A21. |
オフィサー(ホワイトカラー)とレーティング(ブルーカラー)に分けられるが、オフィサーは基本的にMaritime
University(商船大学)卒業者である。
船内では英語が共通語であり、英語で書かれたマニュアルもある。フィリピン人の英語は、それが母国語であることもあり日本人のオフィサーより上だという話も耳にする。 |
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| Q22. |
海運は自由競争で参入障壁が低いとの説明だったが、多額の資金が必要であり、むしろ(障壁が)高いのでは? |
| A22. |
船は一隻60億円もするので、確かに価格は高い。しかししっかりした建造計画と輸送契約があれば、銀行が80%ぐらいまで貸してくれる。また、リース業の利用でもやれる。これらの条件を満足し、頭金さえあれば海運業を始めることは十分考え得る。 |
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| Q23. |
ソーラー・パワーは使っているのか? |
| A23. |
船内で使用する電力量は非常に大きく、ソーラー・パワーを持ってそれを賄える規模ではない事もあり、未だ殆ど使用されていない。
船は自動車のように精巧な機械ではない。エンジンの回転数も1分間に60回転程度だ。燃料はC重油という言葉は悪いが産業廃棄物のような低質油を使っているので、船の排気ガスは環境問題となっている。東京都の石原知事は東京湾に入る船はC重油をやめ、A又はB重油を使えと要請したことがある。業界としては大変な負担増になるので、とても受け入れられない。しかし、この排ガスの問題も近々一段と厳しい対応策を迫られるようになると見ている。船内で発生する汚染物質は捨てられなくなるので、船に焼却炉を積み焼却処置を行っている。
廃棄物に関しては、船上で事前処理して無害化した廃棄物に限り海中に投棄している。 |
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| Q24. |
船の寿命は? |
| A24. |
バルクキャリアの場合、日本の法定償却は15年。しかし、実際には25年くらい使う。鉱石専用船はダブルハル(二重船殻構造)だから30年はもつ。日本人は、安全確保の観点からそれを10年〜15年使用した後で売るが、欧州の船主はそれを買ったりして、30年くらい使う。 |