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  2004年度 ワークショップU講演録

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■第8回ワークショップ(2004年11月26日)

ゲストスピーカー:株式会社ジェー・シー・ディ 代表取締役社長 徐 志敏氏

タイトル:「中国携帯電話付加価値サービスビジネス」

 2004年度で3億2千万人の規模をもち、今後さらに大きく成長する中国携帯電話市場で、モバイルコンテンツビジネスを展開する株式会社ジェー・シー・ディの徐 志敏社長をお招きし、起業家徐社長のアントレプレナーシップ、中国の携帯電話マーケット、同社の事業戦略の実際について、興味深い講義をしていただいた。

T.講師のプロファイル
 1963年生まれで今年31歳の徐社長は、1984年中国・清華大学工学部(水力発電工学)卒。1985年文部省国費留学生として来日し、名古屋大学にて博士号を取得。日本の優れた先進技術を中国に移転する事業をめざす。建設技術研究所研究員として都市建設、道路計画等のコンサルタントとして活躍するかたわら、情報通信技術を学んで将来の成長分野となるiモード事業展開の時機をうかがう。1993年7月に株式会社ジェー・シ―・ディーを設立、北京には100%子会社の第二種通信事業者2社(MNC社、All link社)を設置して、本格的なモバイルビジネスを中国に展開する。このほか中国ITアウトソーシング(オフショア開発)事業、アプリケーション(建築、設計)事業により、文字どおり日本と中国の間のゲートウェイの役割を狙った事業を展開中である。

U.講義要旨
1. マーケットの状況
 (1)中国携帯電話市場:2004年で3億2千万台、プリペイドの伸びが大きく普及率20%となる。携帯電話市場では普及率15%が成長の壁で、15%超で成長が加速する。2005年度には3億5千万台以上を予測
 (2)中国モバイル関連通信市場:2004〜2005年度で4兆5〜8千億円の市場規模
 (3)中国携帯電話利用者年齢構成:1999年以降、主力購買層が25歳〜35歳であったものが、20歳代〜30歳までへと若年層へシフト化
 (4)利用者の月間通信費用(平均値):中国 4千円/月、日本 7〜8千円/月。音声通話の支出は年々低下するが、2002年以降はiモードによるコンテンツ系データ通信の付加価値販売増加により支出の低下に歯止めがかかる傾向(China Mobile, China Unicomとも)

2.JCDの事業戦略
 (1)経営ビジョンと事業ドメイン:経営ビジョン「日中間のゲートウェイとしてのオンリーワン事業を目指す」のもと、1.モバイル事業、2.システムソリューショ事業、3.サイエンス事業の3つの事業分野を展開する
 (2)強み:1.中国モバイルコンテンツ事業分野で先行、2.中国情報通信マーケティングの豊富なノウハウ、3.中国国内の通信・放送業界との幅広いネットワーク、4.日中両国の市場、商慣習、法律知識、技術スキルに長けた人材と人的ネットワークの存在
 (3)中期事業戦略:1.〜2004年までをステップ1とし、日本でのモバイルWebソリューション開発、モバイルコンテンツ開発・配信を軸に、ビジネスモデルの構築、検証の時期とする。2.2005年をステップ2とし、ステップ1の充実強化と対中国輸出を展開して中国向けローカライズ、販売、中国企業向けモバイルWebソリューションに注力する収益基盤確立の時期とする。3.2006年〜はステップ3とし、モバイルインターネット・ユーザー4000万人を視野にモバイルコンテンツ事業の充実・拡大をもとに、メディア・ミックス、モバイルECなどの周辺事業への積極的展開をはかる時期、とそれぞれ位置づける。

3.関連事業の視点
 (1)中国のコンテンツ市場で、日本発の映像・音楽・アニメなどのコンテンツ商品を中国TV局、CATV局等を通じて配信する事業を展開するかたわら、モバイル市場では、日本で開発・稼動中の各種モバイル・システムを中国企業向けにローカライズしてソリューションサービスを積極的に投入する。モバイル・コンテンツ市場で欧米系各社との激しい競争に競り勝つため、同社の強みを徹底して生かして特化したモバイル・コンテンツを市場に浸透させる。
 (2)3億人の人々が携帯電話を使って買い物をする状況に鑑み、大手広告会社と提携してマーケット調査を行う一方、代金回収にトラブルを起こさない小口決裁システムを軸に、市場ニーズの高い対象品(書籍、CD,DVDなど)を選別して展開し、モバイルECへの布石を敷く。

V.質疑応答
Q1.携帯電話のiモード関連事業に目をつけ、起業するに至った背景はなにか
A1.日本の技術を中国に移転する仕事をしようとして、将来有望と思われる分野をいろいろ調べた。モバイル(iモード)、ナビゲーション、ゲームの3つの分野がその帰結であった。この3分野をつなぎとめるツールが携帯電話だと直感した。一時在学中の名古屋大学での友人に通信分野の有力な人が多く、中国郵電部やNTT名古屋などとのネットワークがあった。iモードを何としても中国で広めたいとの熱い思いをドコモの大星会長に伝え、日本のモバイル関連のNTT、家電、商社など主力企業のバックアップを取り付けることに成功した。これならいけると思い、1992年ごろから会社起業の準備にかかった。

Q2.コンテンツビジネスのマーケット規模と競合相手について
A2.中国の携帯電話保有者は3億2千万人、うち6千万人がインターネットに連動。iモードサービス市場は、このうちの3千万人弱とみる。現在JCDはChina Mobileは7位、China Unicomが3位、総合では第5位で7%強のシェアを占め、約180万人のiモード顧客をもつ。上位の4社はいずれも欧米系であり、アジア系ではJCDがトップ。中国でのコンテンツビジネスは競争がきわめて激しく、最初は日本製のコンテンツの50%をのせて中国市場に臨んだJCDも、長くは受け入れられず現在では日本製は10%程度に落ちている。マーケットの選好に合致するものに次々と変えていくことが重要。欧米系に比べて日本製は知名度(露出度)が低い。

Q3.叙社長の体験から、起業の成功の鍵は何と考えるか
A3.新たな事業の立ち上げに必要なのは、「資本力」「人的リソース」「ドメインと製品・サービス」「技術・ノウハウと市場の情報」「事業家としての才覚」である。さらに起業を成功させるポイントは、@市場が大きい事業ドメインを選ぶこと、Aドメイン内で激しく競争する場合の比較優位を考えること、Bリスクをおそれず1年でも早く市場に入り込む、C自分の至らざるところを補ってくれるよいパートナーにめぐりあうこと、Dあきらめず執念をもつこと、等。

W.感想
若き起業家である徐社長の経営者としての才覚を肌で感じ取ることができたように思う。起業家としてどれだけリスクを取れるか、信頼関係をどれだけ培えるか、パートナーとの利益配分をどれだけきっちり守り抜けるか、の3点は成功する経営者の普遍的な資質であろう。 同業他社との競争が激化するなか、真似のし易いコンテンツ事業の差別化をどのように図るか楽しみである。

以上

記録:太田・吉田


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